千屋牛の歴史
日本三名蔓の一つ、国内最古の伝説
特に優れた和牛の系統群を蔓牛と呼びます。資質・発育・繁殖などで優れた特性を持ち、中国地方では江戸時代末期から近親交配により系統の維持・固定が行われてきました。「竹の谷蔓」「周助蔓」「岩倉蔓」は日本3名蔓といわれ、中でも千屋牛の産地である新見市で生まれ、造成された「竹の谷蔓」が最も古いと歴史に刻まれています。体格がよく足腰が丈夫で、資質品位に優れ、繁殖能力も高いことから全国に広がり、現在の和牛の礎となりました。それが和牛のルーツといわれるゆえんであり、新見ののどかな気候風土の中で、由緒ある産地を大切に守り続けています。
千屋牛物語(日本最古のつる牛物語)
日本の和牛ルーツここにあり!
太田辰五郎
西暦1850年頃、黒船が来航した頃じゃ。
備中国阿賀郡実村(現・新見市千屋)に製鉄で大金持ちになった太田辰五郎がおった。
今後、砂鉄も将来は底をつく。燃料の木炭もしかり。
耕地も少ないこの村に、後世まで根付く産業はないものか…
そうだ!牛を飼おう!牛は草があれば飼える。
糞は田畑のこやしになる。良い牛は高値で取引される。
牛を増やせば村は潤うはずじゃ。」
辰五郎は、新見の竹の谷集落の難波千代平の良い牛を購入し、
千屋に連れて帰り牛の子を農家に預けて牛を増やしたんじゃと。
こうして生まれたんが「竹の谷蔓牛」。それが千屋牛の祖先になったんじゃ。
昭和に入ってから、和牛登録協会の創設者・羽部義孝氏が日本の和牛改良のルーツを調査してみたところ、
なんと日本最古の「つる牛(系統牛)」が岡山県新見市におったというのが、わかったんじゃ。
日本最古の蔓牛(千屋牛)は、“和牛の中の和牛”というわけじゃ。
新見市千屋地区に開設されていた牛市。優良牛を求めて全国から多くの購買者でにぎわっていました。
山間の棚田で農耕牛として重宝
千屋牛の定義
千屋牛は、繁殖、肥育から生産まで品質を大切にしたブランド牛です。
新見市内で繁殖・肥育一貫生産されたもの。または岡山県下で生産された子牛を導入し、新見市内で約18ヶ月間以上肥育されたもの。
千屋牛は、国産の稲わらを給与しています。
緑の中、雪の中で放牧しています
5つのコンセプト
-
和牛のふるさと・新見で生まれた千屋牛は、日本最古の蔓牛「竹の谷蔓」の系統をひく優秀な黒毛和種です。
豊かな自然と天候に恵まれ、肉用牛の盛んな岡山県内でも優良肉質和牛の代表格。
ほどよい霜降りと赤身が特徴、美味しさと柔らかさを誇るこだわりの和牛です。
-
健康で良質な牛の育成のためにまず大切なのは授乳期の飼育です。
千屋牛の子牛は良好な発育を第一に考え、「カーフハッチ」など衛生的な牛舎で手厚く哺育しており、常に健康に留意した環境を保っています。
-
肥育期間中には安全を重視して飼料を厳選。
指定した配合飼料と牧草、稲わらを与えて育てています。
すぐれた肉質を目指すとともに、安全で健康なブランド牛として自信を持ってお届けしています。
-
千屋牛はすべての牛に10桁の耳標をつけ、出生年月日、性別、種別、母牛、生産地、飼養地などの生産履歴を明らかにしています。これにより牛の情報が流通の段階はもとより消費者に正確に伝わり、お客様の食卓に安心を運びます。
-
高梁川の源流、豊かな自然に包まれた千屋牛の里で繁殖・肥育の一貫生産を図り、古くからこの地に根付いた牛への深い知識と最新の技術を持つ限られた生産者によって大事に育てられました。
安心、安全、おいしさの期待に応える信頼のブランドです。
千屋牛の格付け
(社)日本食肉格付協会の格付規格で肉質等級3規格以上を千屋牛とし、4規格以上は特選千屋牛と定めています。肉質等級は、霜降りの度合い、肉の色つや、肉質のきめ細かさ、脂肪の質など総合的に評価したものです。
歩留り等級 A・B・C |
枝肉の割合が大きいほど等級が高くなります。 (高 A-B-C 低) |
「A」「B」3等級以上を 千屋牛とします。 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
肉質等級 1~5 |
数字が大きいほど色鮮やかな霜降りできめ細かい肉質になります。 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
BMS 1~12 |
数字が大きくなるほど美しい霜降りになります。 | 3~4 | 5~7 | 8~12 |
千屋牛を味わう
おいしさの特徴
ジューシーな舌触り、凝縮した旨みが口の中に広がります ほどよい霜降りと赤身が絶妙なバランスで重なり合い、適度にサシ(脂肪)が入っているのが特徴です。旨みのもとである良質なアミノ酸と不飽和脂肪酸が多いことで生まれるやわらかな食感と香りが、和牛本来の味を引き立てます。一般的に和牛本来の味がしっかりしていると称され、ジューシーな舌触り、凝縮した旨みが口の中に広がります。
部位ごとの特徴
-
カタ
やや硬めの赤身肉。旨み成分、ゼラチン質が豊富で濃厚な味は、カレーやシチューなどの煮込み料理に向いています。
-
肩ロース
脂身が適度になり、風味は抜群に良いです。すき焼きやしゃぶしゃぶなど、薄切り料理に向いています。
-
リブロース
やわらかく霜降りになりやすい最高級部位です。きめが細かく、赤身と脂肪のバランスが抜群です。ステーキやローストビーフ、焼肉などにおすすめです。
-
サーロイン
サーの称号を持つ部位。きめが細かく、柔らかくて風味に富み、ステーキに最適です。
-
ヒレ
1頭からわずかしかとれない最高級部位。非常にやわらかく、脂身が少ないのが特徴で、口の中でとろけるような上品な味わいを楽しめます。ステーキやローストビーフ、ビーフカツなどに適しています。
-
モモ
歯ごたえのある赤身肉です。脂肪が少なくゼラチン質を含んでコクもあり、ローストビーフやシチュー、炒め物などに向きます。
-
ランプ
おしりの部分。きめが細かくやわらかい、風味がよい赤身肉です。
-
バラ
カルビと呼ばれる焼肉の人気部位。霜降りになりやすく濃厚な味わいです。
-
スネ
肉質は固めですが、煮込むほどにやわらかくなりコクが出ます。コラーゲンを多く含み、ポトフやカレーといった煮込み料理に最適です。
商標登録
商標登録証 千屋牛は平成19年に特許庁から地域団体商標登録として認められたブランド牛肉で、JA晴れの国岡山が商標を所有しています。千屋牛振興会が定める要件を満たし、審査会で認められた生産農場、販売店、外食店を会員として指定登録しています。会員には指定登録証を発行し、店頭などで掲示しています。これが正真正銘の千屋牛を扱っている証になります。